けんちくぶつかんきょうえいせいかんりぎじゅつしゃ
建築物環境衛生管理技術者

建築物環境衛生管理技術者とは,建築物衛生法に基づく国家資格です.ビルや店舗,公共施設などにて,環境衛生上の維持や管理を行うための資格です.建築物衛生法により,一定規模(3,000㎡,学校等は8,000㎡)の特定建築物には有資格者の配置が定められています.

建築物環境衛生管理技術者資格は,試験に合格するか,あるいは指定講習の修了のいずれかにより取得することができます.いずれの方法でも,合格(修了)により得られる免状は同じです.

試験による方法の場合,受験資格に必要な学歴等はありませんが,一定の実務経験が必要となります.また講習による方法の場合は,受講資格として学歴や実務経験,衛生や技術に関する一定の有資格者などの要件が求められます.


受験データ(令和2年度)

受験者数

9,924

合格者数

1,933

合格率

19.5%

資格の概要

資格の名称

資格名
建築物環境衛生管理技術者
よみ
けんちくぶつかんきょうえいせいかんりぎじゅつしゃ

資格の種別

既存住宅状況調査技術者は,建築物衛生法による国家資格です.厚生労働省医薬・生活衛生局が所轄しています.資格制度は1971年に開始し,1985年に試験の実施団体が現日本建築物衛生管理教育センターへ移管されて,現在に至っています.

資格種別
国家資格
根拠法令
建築物における衛生的環境の確保に関する法律
試験実施機関
公益財団法人 日本建築衛生管理教育センター
主管官庁
厚生労働省
制度開始年
1971(昭和46)年

試験の実施団体である日本建築物衛生管理教育センターは,建築物の管理に関する教育並びにその知識・技能の普及活動を行う公益法人です.建築物環境衛生管理技術者試験のほか,建築物の衛生環境の確保に関する様々な公的試験や講習を実施しています.

資格の認定と更新

建築物衛生環境管理技術者試験の合格もしくは建築物環境衛生管理技術者講習会の修了により,厚生労働大臣から免状が交付される.

認定方式
試験または講習
登録機関
厚生労働大臣

資格の位置づけ

法令上の地位

建築物環境衛生管理技術者は建築物衛生法に基づく資格であり,法により一定の業務独占や選任義務を認めらています.

専管業務

建築物環境衛生管理技術者の選任

特定建築物所有者等は,当該特定建築物の維持管理が環境衛生上適正に行なわれるように監督をさせるため,厚生労働省令の定めるところにより,建築物環境衛生管理技術者免状を有する者のうちから建築物環境衛生管理技術者を選任しなければならない(建築物衛生法第6条第1項).

設置義務
特定建築物所有者等は,当該特定建築物の建築物環境衛生管理技術者の氏名その他省令で定める事項を都道府県知事に届け出なければならない(建築物衛生法第6条第1項).
  • 建築物衛生法:建築物における衛生的環境の確保に関する法律

講習の概要

講習名称
建築物環境衛生管理技術者講習会
受講資格

■学歴による者

①大学の理学,医学,歯学,薬学,保健学,衛生学,工学,農学または獣医学の課程,防衛大学校の理工学の課程,海上保安大学校を卒業し,実務経験1年以上の者.

②短期大学・高等専門学校の理学,医学,歯学,薬学,保健学,衛生学,工学,農学または獣医学の課程を卒業し,実務経験3年以上の者.

③高等学校・中等教育学校の工業に関する学科を卒業し,実務経験5年以上の者.

④区分①~③以外の区分の学科の卒業者もしくは,大学・短期大学・高等学校の文科系等を卒業し,実務経験5年以上の者.

■資格による者

⑤医師,一級建築士,技術士の機械,電気電子,上下水道,または衛生工学部門の登録を受けた者.

⑥第一種冷凍機械責任者で実務経験1年以上の者.もしくは第二種冷凍機械責任者で実務経験2年以上の者.

⑦臨床検査技師で実務経験2年以上の者.

⑧第一種電気主任技術者,第二種電気主任技術者で実務経験1年以上の者.もしくは,第三種電気主任技術者で実務経験2年以上の者.

⑨特級ボイラ技士で実務経験1年以上の者.もしくは,一級ボイラ技士で実務経験4年以上の者.

⑩大学に入学することができる衛生管理者で,実務経験5年以上の者.

■個別認定

⑪厚生労働大臣が上記区分①~②と同等以上の学歴及び実務の経験,または区分⑤~⑩と同等以上の知識及び技能を有すると認める者

受講形態
集合研修
受講地
全国各地
講習実施団体
(公財)日本建築衛生管理教育センター
受講募集期間

開催回により異なる

概ね開講日の2ヶ月前まで

カリキュラム
  1. 建築物衛生行政概論 10時間
  2. 建築物の構造概論 8時間
  3. 建築物の環境衛生 13時間
  4. 空気環境の調整 26時間
  5. 給水及び排水の管理 20時間
  6. 清掃 16時間
  7. ねずみ,昆虫等の防除 8時間

合計 101時間

受講期間
約3週間
受講料
108,800円(非課税,テキスト等教材費含む,令和2年度)

試験の概要

試験名称
建築物衛生環境管理技術者試験
受験資格

次の用途に供される建築物の当該用途部分において環境衛生上の維持管理に関する実務に業として2年以上従事した者:

  1. 興行場(映画館,劇場等),百貨店,集会場(公民館,結婚式場,市民ホール等),図書館,博物館,美術館,遊技場(ボーリング場等)
  2. 店舗,事務所
  3. 学校(研修所を含む)
  4. 旅館,ホテル
  5. 多数の者の使用,利用に供される用途であって,かつ,衛生的環境も1.から5.までの用途におけるそれと類似しているとみられるもの
試験実施団体
(公財)日本建築衛生管理教育センター
受験料
13,900円(非課税,令和2年)

受験スケジュール

試験日
10月の第1日曜日
試験会場
札幌市,仙台市,東京都,名古屋市,大阪市及び福岡市
試験公告
4月上旬
出願期間
5月上旬〜6月中旬
受験票発送
9月上旬
合格発表
11月上旬

試験の内容

出題形式

五肢択一,マークシート方式

午前180分,午後180分の全180問

試験範囲
  1. 建築物衛生行政概論
  2. 建築物の構造概論
  3. 建築物の環境衛生
  4. 空気環境の調整
  5. 給水及び排水の管理
  6. 清掃
  7. ねずみ,昆虫等の防除
合格基準

以下の条件を満たした者が合格となる

  • 各科目の得点が満点の40%以上
  • 全科目の得点が満点の65%以上

お問い合わせ

試験実施団体

(公財)日本建築衛生管理教育センター 国家試験課

https://www.jahmec.or.jp/

制度の沿革

建築物衛生法(昭和45年4月14日法律第20号)が制定

財団法人ビル管理教育センター(現 公益財団法人日本建築物衛生管理教育センター)が設立

第1回厚生大臣指定建築物環境衛生管理技術者講習会が開催

第1回建築物環境衛生管理技術者試験が実施(1〜14回は厚生省が実施)

第15回建築物環境衛生管理技術者試験が実施(以降,厚生大臣指定試験機関としてビル管理教育センターが実施)

ビル管理教育センターが公益財団法人日本建築衛生管理教育センターへ名称変更

受験データ

受験者数・合格者数・合格率の推移

過去5年間に実施された建築物環境衛生管理技術者試験の受験者数,合格者数および合格率の推移を図表に示します.受験者数は例年1万人規模で安定的に推移しています.合格率は年により大きく上下しており,ここ5年(2016〜2020年)を集計して求めた平均は約19.1%です.合格基準は毎年同じ(全科目の総得点が満点の65%以上で40%未満の科目がないこと)ですので,今後の試験の難易度は,おおむね2割の合格率を基準として,平衡するように設定されるもの予想されます.


試験回受験者数合格者数合格率
2020年度9,9241,93319.5
2019年度10,1461,24512.3
2018年度11,0692,33921.1
2017年度10,2091,38713.6
2016年度10,3942,95628.4

図表は各年度の資格試験による合格者数等を示す

(公財)日本建築衛生管理教育センターの発表に基づき作成