かんりぎょうむしゅにんしゃ
管理業務主任者

管理業務主任者(管業)とは,マンション管理適正化法に基づいた国家資格です.マンションの管理組合から管理業務を受託するマンション管理業者において,委託契約に関する重要事項や管理事務の報告を行い,受託業務の責任者となります.

資格の取得には管理業務主任者試験への合格が必要です.合格後,所定の要件を満たしている者は,資格登録の手続きを行うことで管理業務主任者になることができます.

法令により,マンション管理会社が管理組合に対して行う「重要事項の説明」や「事務報告」は,管理業務主任者のみが行うことができます.また,マンション管理業者には一定数の管理業務主任者の専任が義務付けられており,マンション管理業において常に堅実な需要があります.


合格者データ(令和2年度)

受験者数

15,591

合格者数

3,617

合格率

23.2%

資格のあらまし

資格の名称

資格名
管理業務主任者
よみ
かんりぎょうむしゅにんしゃ
資格英名
Licensed representative of condominium management company

上記以外にも,管業と称されることがあります.

資格の種別

管理業務主任者は,マンション管理適正化法に定める国家資格で,国土交通省が主管しています.資格制度は2001年に第1回の試験が実施されて,現在に至っています.

資格種別
国家資格
根拠法令
マンション管理適正化法
試験実施機関
一般社団法人 マンション管理業協会
主管官庁
国土交通省
制度開始年
2001(平成13)年

試験の実施団体であるマンション管理業協会は,マンションの管理業務を行う事業者で組織された業界団体です.マンション管理適正化推進法に基づいて,国交省大臣から管理業務主任者の試験実施機関として指定を受け,試験を行っています.

資格の認定と更新

管理業務主任者資格試験に合格後,管轄の地方整備局等へ管理業務主任者として登録し,管理業務主任者証(主任者証)の交付を受けることにより,管理業務主任者となります.

認定方式
試験および実務経験
登録機関
住所地を管轄する国土交通省地方整備局長,北海道開発局長又は沖縄総合事務局長
登録要件

以下の両方を満たす者:

  • 管理業務主任者試験の合格者
  • マンション管理業務で2年以上の実務経験 ,または国や地方公共団体等にて2年以上の管理事務への従事

登録実務講習を受講し修了することで,実務経験が2年未満の者でも登録することができるようになる.

有効期間
あり(5年間)
更新方法
主任者証は5年ごとに更新講習を受講して更新する

制度上の講習

マンション管理適正化法により,管理業務主任者あるいは管理業務主任者になろうとする者を対象とした法定の講習制度が設けられています.

資格の登録
更新・継続

資格の位置づけ

法令上の地位

管理業務主任者はマンション管理適正化法に基づく資格であり,法により一定の業務独占や設置義務を認められています.

専管業務

管理業務主任者の専管業務

  • 重要事項の説明(適正化法72条)
  • 重要事項説明書への記名押印(適正化法78条)
  • 契約成立時に交付すべき書面への記名押印(適正化法73条)
  • 事業年度ごとに行うべき管理事務に関する報告(適正化法77条)
設置義務

管理業務主任者の設置義務

  • マンション管理業者は,その事務所ごとに,事務所の規模に応じた数の成年者である専任の管理業務主任者を置かなければならない(適正化法56条)
  • 適正化法:マンション管理適正化法

他資格での免除

管理業務主任者試験の合格者は,マンション管理士試験を受験する際に,その一部(マンション管理適正化法の5問)が免除されます.

試験の概要

試験名称
管理業務主任者資格試験
受験資格

なし

誰でも受験することができる

試験実施団体
一般社団法人 マンション管理業協会
受験料
8,900円(非課税,令和2年度)

受験スケジュール

試験日

年1回

12月の第1日曜日(例年)

試験会場
全国8試験地(令和2年度)
出願期間
9月上旬〜下旬(例年)
受験票発送
11月上旬(例年)
合格発表
翌1月下旬(例年)

試験の内容

試験方式
マークシート
出題形式
四肢択一, 全50問,2時間
試験範囲
  1. 管理事務の委託契約に関すること
  2. 管理組合の会計の収入及び支出の調定並びに出納に関すること
  3. 建物及び附属設備の維持又は修繕に関する企画又は実施の調整に関すること
  4. マンションの管理の適正化の推進に関する法律に関すること
  5. 上記1.から4.に掲げるもののほか管理事務の実施に関すること
法令基準日
試験年の4月1日
合格基準
おおむね満点の70%以上の得点で合格
免除科目等

あり

マンション管理士試験の合格者は,本試験で課される全50問のうち5問が免除されて,一律5点が加点される.

お問い合わせ

試験実施機関

一般社団法人 マンション管理業協会

http://www.kanrikyo.or.jp/


所轄官庁

国土交通省 土地・建設産業局 不動産業課

https://www.mlit.go.jp/totikensangyo/const/1_6_bt_000246.html

制度の沿革

高層住宅管理業協会(現 一般社団法人マンション管理業協会)が発足

マンション管理適正化法(平成12年法律第149号)が施行

第1回管理業務主任者試験が実施

受験データ

試験科目別の出題状況

これまでの管理業務主任者試験の過去問に基づいて作成した,例年の試験科目別の出題状況を表に示します.マンションの主要な権利関係を規定する②区分所有法と③標準管理規約が主幹となりますが,マンション標準管理委託契約についての配分も高く,幅広い分野からの出題がなされています.マンション管理士と比べると,管理業従事者としての適性を計る内容となっており,今後もこの出題傾向が継続するものと予想されます.

凡例科目配分
民法・その他法令10問
区分所有法6問
標準管理規約10問
管理実務7問
建築・設備12問
マンション管理適正化法5問
 合計50問

近年の本試験の過去問より作成

受験者数・合格者数・合格率の推移

過去5年間に実施された管理業務主任者試験の受験者数,合格者数および合格率の推移を図表に示します.資格制度の始まった2001(平成13)年当初には64,678人の申込者を集めていましたが,徐々に人気も落ち着き,近年は2万人前後となっています.今後も例年通りの受験生を集めるであろうと予想され,安定した評価を受けている資格といえます.初年度の合格率は58.5%を示していましたが.その後徐々に絞り込まれて,現在では20%〜23%台の水準で均衡しています.今後の合格者数は例年通り4千人前後になると予想されます.


試験回受験者数合格者数合格率
2020年度15,6673,47322.2
2019年度15,5913,61723.2
2018年度16,2493,53121.7
2017年度16,9503,67921.7
2016年度16,9523,81622.5

(一社)マンション管理業協会の発表に基づき作成

合格者の男女比

管理業務主任者試験合格者の性別内訳(令和2年度の場合)を図表に示します.合格者の男女別の比率は,男性が79.1%(2,746人),女性が20.9%(727人)でした.

凡例項目内訳
男性2,746人
女性727人

(一社)マンション管理業協会の発表に基づき作成

合格者の年齢

令和2年度の管理業務主任者試験の合格者の平均年齢は,43.2歳(男性44.8歳, 女性36.9歳)です.同年の最高齢の合格者は78歳(男78歳,女76歳),最年少は18歳(男18歳,女18歳)でした.

合格点の推移

過去5年間に実施された管理業務主任者試験の合格基準点(合格に必要な最低点)の推移を図示します.期間中(平成28年〜令和2年)の合格基準点の平均は35.0点で,合格には満点の70〜75%の得点が求められていることがわかります.ここ10年間の単年度のデータでは,最大値は平成24年度などの37点,最小値は平成25年度の32点です.

(一社)マンション管理業協会の発表に基づき作成

合格者の地域別内訳

管理業務主任者試験(令和2年度)合格者の地域別内訳を図表に示します.図表中の地域ブロックは,受験地であった各試験会場を,都道府県ベースの全国6地域へ割り振り,集計したものです.東京を含む②関東・甲信越のブロックの合格者が1,923人と,同年の全国の合格者3,473人のうち55.4%を占めています.

凡例地域割合
北海道・東北5.5%
関東55.4%
中部7.0%
近畿19.4%
中国・四国4.8%
九州・沖縄7.9%
 合計100.0%
(3,473人)

各ブロックは以下の各都道府県を含む:

【北海道・東北】北海道 青森県 岩手県 宮城県 秋田県 山形県 福島県 【関東】茨城県 栃木県 群馬県 新潟県 山梨県 長野県 埼玉県 千葉県 東京都 神奈川県 【中部】富山県 石川県 福井県 岐阜県 静岡県 愛知県 三重県 【近畿】滋賀県 京都府 大阪府 兵庫県 奈良県 和歌山県 【中国・四国】鳥取県 島根県 岡山県 広島県 山口県 徳島県 香川県 愛媛県 高知県 【九州・沖縄】福岡県 佐賀県 長崎県 熊本県 大分県 宮崎県 鹿児島県 沖縄県

(一社)マンション管理業協会の発表に基づき作成